受験生の皆さんはご存知の方もいるとは思いますが、薬剤師になるためには、まず薬学系の大学に進学することから始まります。薬学部か薬科大学で6年間勉強して薬剤師養成課程を修了した後、薬剤師国家試験を受験します。その試験に合格した人だけが、薬剤師という仕事に就くことができるのです。
下記、薬剤師になるまでのルートになります。
※薬学部は2005年まで4年制でしたが、当時の厚生労働省から「先進国の中で薬剤師の教育が遅れていることから、薬剤師の教育を充実させ、医療の質の向上をはかりたい」との要望があり、翌年から6年制がスタートしました。 |
なお、大学では「有機化学」、「生物化学」、「薬剤学」、「疫病学」などの授業を学ぶほか、調剤薬局の実習により、薬学に関する幅広い知識や技術を身につけます。
薬剤師国家試験は毎年2月に行われ、試験科目は「物理・化学・生物」「衛生」「薬理」「薬剤」「病態・薬物治療」「法規・制度・倫理」など、薬学に関する幅広い分野から出題されます。
合格者の発表は翌月。ここ数年の合格率は70%前後と、数字だけ見ると比較的合格しやすいと思われがちですが、軽い気持ちで受験すると約30%の不合格の中に入ってしまいますので、十分な対策と勉強を怠らないでください。
各大学の直近の合格率や、全体の過去の推移を知りたい方は『大学別の薬剤師国家試験合格率一覧はこちら』をご覧ください。
さて、薬学部出身者が薬剤師になることは最大の目標ですが、"卒業後に得ることができる資格"、もしくは"薬剤師である"ことで取得したい資格の一部が考慮される(試験・実務経験など)ことをご存知でしょうか。
薬学部の卒業後に得られる受験資格・資格の考慮
薬学部を卒業していれば受験できる資格、および取得する際に有利になる資格になります。
登録販売者は医薬品販売の専門家。薬剤師にしかできなかった医薬品販売を行うことができる資格で、薬剤師ではない方にとっては人気があり、魅力的な資格ですね。
薬剤師であれば資格を取得する際に考慮される資格
自動的に資格を取得できるわけではなく、取得する際に優遇される資格になります。
「労働衛生コンサルタント」や「衛生管理者」は、労働者の健康を守ったり、労災を防止するなど、労働者の作業環境の管理や安全衛生の指導などを行う専門家です。難易度は30%前後と高いですが、資格を取得して実務経験を積めば、年収は薬剤師より高くなることは間違いないでしょう。
MRは学歴や国家資格などの必要な条件はありませんが、実際現場で多くの人が「MR認定証」(※)を取得しています。企業によっては(特に大手の製薬会社)、MRとして活躍するためには必要不可欠な資格と言えます。
※厚生労働省認可の公益財団法人であるMR認定センターが実施している「MR認定試験」
いかがでしたでしょうか。薬剤師として活躍するためには必須の国家試験があり、薬学部を卒業すると共に得られる受験の資格も、ご自身のステップアップには欠かせない資格です。社会人になってからでもスキルや収入UPを目指すのであれば、認定薬剤師や専門薬剤師の資格を取得することも選択肢の1つ。詳しくは『今後必要とされる薬剤師の専門性とは…』をご覧ください。ただ、仕事との両立が難しく容易ではありませんが、自身のキャリアアップを考えれば必要になってくるのは間違いないでしょう。
5年後、10年後のキャリアを考えるなら在学中から、いや、高校の時点からでも計画しておいた方が、理想の社会人としての姿に早く近づくことができると思います。在学生や受験生のみなさんはぜひ参考にしてみてください。
薬学部を卒業後、薬剤師として5年間働くが職場に馴染めず、体調を崩して退職。約1年間の自宅療養の後、薬剤師として復帰。自分と同じように薬剤師復帰を目指す人や、薬剤師になりたい学生・受験生を応援するべく情報を提供してます!